ある卵巣がん患者配偶者の記録

2015年1月から9月までの戦いの日々

動物検疫の準備

5amにステロイド注射。

6amにPCAシリンジ交換。

8am、Whole Foodsへ買い出し。Whole Foodsでもペット用品を結構置いているのに気が付き、妻に見せるため写真を撮っていく。

朝食のスクランブルエッグ・サラダとジュース、オレンジ、コーヒー、クリスタルガイザー。水はペットボトル35本まとめ買いなので、車に積んだまま駐車場に置いておく。

9amにシャワー。

10amにベッドで試しに横になってみるテスト。やはり痛みがでてきてうまくいかない。

11amにPCAポンプから経口痛み止めへのスイッチと退院準備についてインド系の内科医ドクターPと話し合う。Fentanylを100mcg/hrに増量、即放性オキシコドン錠剤Roxicodonを4時間起きに使う方向で。しかし後でわかるが、Roxicodonは即放性(instant release)といいながらあまり効きがよくないのでレスキューとして頼りない。

12pm、動物病院に電話して、犬を連れて日本に帰るための検疫書類を準備してもらうためのアポを入れる。

12:30pm、関西国際空港の検疫所に電話して書類について確認。

意外と知られていないことだが、ペットをアメリカから日本へ連れて行くのはものすごく大変だ。初めての場合、最短で7ヶ月かかる。

  • 首のうしろにマイクロチップを埋め込む(国際規格とアメリカ独自のものと異なるので2種類)
  • 1回目の狂犬病ワクチンの注射
  • 30日以上あけて2回目の狂犬病ワクチンの注射
  • 採血し、抗体価測定のため専門機関にクール便で送る(アメリカだとカンザス州立大学)
  • 180日(6ヶ月)以上、待機
  • 日本に入国する40日前に到着空港へ連絡し、専用のウェブサイトで申請
  • 日本に入国する7日前に動物病院へ行って健康診断、獣医に専用の申請書を書いてもらう
  • 関連書類全てをUSDA(米国農務省)に速達で送り、スタンプをもらって送り返してもらう
  • 念のため、戻ってきた書類をぜんぶスキャンか写真撮影して到着空港に送り、最終確認してもらう

上記のうち一つでもミスがあると、日本国内にペットを連れて入ることができず、空港の係留施設に6ヶ月も隔離されてしまうという、とんでもない事態になる。

とくに、出発の7日前に重要書類をUSDAへ送るのは配送トラブルの多いアメリカではかなり不安になる。カリフォルニアにいた頃には片道2時間以上かけてわざわざUSDAのオフィスがあるサクラメントまで車で手持ちしていたりもした。また、そのころに動物病院が長期休暇に入っていたりすると大変なことになるので早めの予約が望ましい。

さらに、ペットを機内持ち込みしたい場合には、バッグの形状やサイズに規定があり、1便あたり1匹までというルールがあることも多いので、チケットをとる前に予約センターに電話して確認しておく必要がある。

私たちはいつもペットを連れて移動するので何度も経験済みで慣れていたが、それでもアメリカ国内でこの複雑な準備に協力してもらえる獣医を見つけるのには苦労する。サンフランシスコからラスベガスへ引っ越したときも、手続きに関しては自分たちが全部知ってるから言ったとおりにやってくれればいい、といっても、あまりの面倒くささに断られてしまうことが多かった。

また、私もこのプロセスについて知識としては知っていたものの、実際の実行はいつも妻に任せっきりだったので、すべて自分でやるのは今回が初めてだった。

さて今回の場合、問題になるのは「40日前に到着空港へ連絡」の部分だ。急な手術と、急な帰国。特別な事情があれば、この部分については考慮してもらえることを、1月の帰国時に経験済みだった。妻にきいてみると、妻自身が入院する前日に「日程は確定してないが近日中に帰国の可能性あり」と関空へ連絡済みで、了承を得ているという。これでひとつ、問題はクリアになった。

次の課題は「7日前の申請書作成とUSDAへの送付」だ。これも、帰国日が決まらないと進められないのだが、来週中の帰国が濃厚となった現在、金曜日の今日スタートしないと、来週になってからでは間に合わない可能性が高い。というわけで、急遽、動物病院のアポを入れて検疫準備を開始することになったのだ。

1pm、自宅へ戻り、動物病院に持っていく書類を準備。

2:00pm、病室サイドではFentanylパッチを100mcg/hrのものに貼り替え。ビデオチャット常時接続とはいえ、妻をひとり病室に残してくるのは不安なので、私が見ていられないときには母にときどき様子をみてもらっている。妻は何か伝えたいことがあれば大きな声で話せば、私が外出中でも母経由ですぐ連絡がくるという段取りになっている。

2:30pm、動物病院へ。

獣医に検疫に必要な書類を記入してもらい、その場ですぐにiPhoneで全ページ写真をとり、関空の検疫所(24時間オープン)にメールで送ったあと、電話をかけて「さきほど検疫書類を送ったので、これをUSDAに送付してスタンプもらえばOKかどうか今すぐ確認していただけますか?」とたずねる。OKをもらってから電話を切り、動物病院からカリフォルニアサクラメントにあるUSDAへFedexの速達で送る。あとはトラブルなく返送されてくることを祈るばかり。

ちなみに、iPhoneから日本への国際電話にはGoogle Voice / Hangoutsアプリを使えば、相手が固定電話なら1分3セント、携帯なら1分9セントと、格安でかけることができる。

自宅に戻ると、ちょうどドクターWが病室にきて妻の往診をしているのがFaceTime越しに見える。こうしてビデオチャットで病室と自宅を繋ぎっぱなしにしていると、こういうときに安心感がある。

母の手作り夕食と着替えをピックアップして病院へ。夕食はジュース、おにぎり、チャーハン、かぼちゃのスープ。妻はかぼちゃのスープとジュースをメインで。

その後、がんばって病棟を歩きに行く。ゆっくりしか歩けないが、がんばって二周する。

歩くと浮腫みがでてくるので、足にバンデージをぐるぐる巻きにする。

10:30pm、Fentanylパッチを50増量して100+50の二枚貼ることに。パッチ薬はなめらかな増量ができずタイトレーションが難しい。

11pm、オレンジ色のゼリーみたいな下剤2杯を飲み切った。

浮腫改善のため、久々にベッドで寝ることに。