ある卵巣がん患者配偶者の記録

2015年1月から9月までの戦いの日々

手術前日、母がヘルプに来てくれる

今日から明日の手術まで絶食で、透明の液体しか飲むのが許されない。

胃腸をからっぽにするために、朝起きてMagnesium Citrateの服用開始。10ozでも多いのでこれを半分量と、水を8ozあわせて飲む。

また、赤色のものを避けろと言われていたので、今日はリンゴ、オレンジ、レモンのみを使ってスロージューサーでしぼり、さらにストレーナーで濾して繊維の残らないクリアーなジュースを作った。

今日は、明日から始まる入院生活のヘルプのため、母が飛んできてくれることになっている。母は昔からインドやパレスチナのような難易度の高い国へふらっと一人旅に出て行くようなタイプで、フットワークが軽かったのが幸いした。昨日お願いしてすぐチケットをとり、今日にはもう到着することになっている。関空からラスベガスへは直行便がなく、サンフランシスコ空港を経由してくるので、待ち時間なども含めたDoor-to-doorでの移動時間は24時間近くになる。

9amに仕事の打ち合わせのあと、母親に電話してみてサンフランシスコ空港に着いたことを確認。これからラスベガスに向けて国内線へ乗り換えだ。色々と心配していたけど、どうやら何も設定しなくてもきちんとiPhoneローミングできていたようだ。ただ、通話料は一回あたり約150円かかるのであまり気軽には使えない。こういうとき、空港の無料Wifiはいろいろ英語で同意を求めたり広告を見せたりと仕組みが複雑なので母親のような高齢者には使えないのが難点だ。

お昼に妻が目玉焼きとトウモロコシのグリルを作ってくれる。手術の前日で、しかも本人は何も食べれないというのに。。。ありがたく完食した。

昼過ぎ、追加で仕事をしてから買い物のおつかいに出かける。

天然のDish SoapとDishwasher PowderをゲットするためWhole Foods Marketへ行き、散々迷ったあげく、The Honest Companyブランドの商品で統一する。その後、ペットシーツ(英語ではTraining Padという)をまとめ買いしてストックしておくためにSmith'sへ。母の留守番中に補充の必要がないようにしておく。

3pm過ぎ、母のラスベガス空港到着に合わせて迎えに行く。空港まで車で10分という至近距離のロケーションはやはり便利。Dゲートから出てくるのをつかまえて、19番カルーセルへ。

自宅に到着すると、母は妻の姿をみて「思ったより元気そうで安心した」という。ただ、昨日もらった痛み止めの薬があまり効かないのでつらそう。

初めて母にこの新居をお披露目するのがこんな形になって残念だけれど、それでもせっかく来たのだから滞在中は「アメリカ暮らし」を楽しんでいってほしいと思う。

明日からは母にひとりで留守番をしてもらうことになるので、うちにある家電の使い方や冷蔵庫の中身、生活用品の配置などを手短にブリーフィング。しかし、きっと一度にたくさん説明されても覚えきれないだろうから、何か困ったら病院からビデオチャットで話せるように、母の持ってきたMacBook / iPad / iPhoneをインターネットに接続できるようセットアップ。困ったときの通信機器は生命線だ。

夜になって、父と二人ではなかなか行く機会がないインド料理が食べたいという母のリクエストにこたえて、妻があのお店がいいんじゃない?とチョイスしてくれる。

ただ、本人は絶食中なので二人でいってくることに。Masala Dosa, Saag Paneer, Chicken Tikka Masalaなどを食べる。母親はいたく気に入ったらしく、食べきれなかった分を翌日食べる用にボックスに入れて持ち帰り。

また、「間違えて似た名前の別のお店のGrouponを買っちゃったよー返金申請しなきゃ」という感じで妻と軽い会話をしたりして、手術前だというのにそれほど悲壮感なく時間を過ごせることに、ささやかな幸せを感じる。

帰宅してから母にコンドミニアムの設備を少し内覧。ベガスのこの時期は、8pmでもまだ明るい。ジム、プール、カバーニャ、ジャグジー、サウナ、マッサージルーム、ビジネスセンター、などなどを案内してまわる。ホテルのような設備にややテンションの上がる母。

妻はといえば、朝のんだMagnesium Citrateは効かなかったらしく、お通じはほとんどなし。結局、Fleet Enema(浣腸)に頼ることに。ところが、このEnema、70%増量とかで230mlという特大サイズ。イチジク浣腸をイメージしてると衝撃のの大きさ。でかけりゃいいってもんじゃないと思うんだけど。。。

それから、痛み止めHydromorphoneの副作用で嘔吐してしまったらしい。やはり麻薬系の痛み止めは副作用もきついようだ。

その後、皮膚に貼るパッチタイプの痛み止めFentanylのことを調べていてその説明に驚愕。いわく、モルヒネの80倍ぐらい強力で、経皮以外のルートで摂取、たとえば舐めたら即死するぐらいの超危険物質らしい。使い終わったパッチでも子供やペットが舐めて死んでしまうケースが多いらしく、使い終わったら粘着面を貼りあわせてトイレで流せとのこと。

あと、12mcg/hrという単位を目にしたのも初めて。経皮吸収のペースを示すもので、micrograms per hourのことらしい。体温が上がると吸収量が増えるらしいので気をつけなければ。

とりあえず、lowest dosageでは効いてないようなので、二枚目を貼り付け。72時間持続するらしいので、明日の手術まで持ってくれればいいのだけど。

この夜、妻は寝返りをうつのも苦しそうなので、私はソファで寝ることに。母には、予定通りゲストルームに設置したエアベットで寝てもらう。