ある卵巣がん患者配偶者の記録

2015年1月から9月までの戦いの日々

誕生日の外出を打診

夜中トイレ4-5回。大はなし。

6am、採血。体温38度。

朝食は、母が昨日買ってきてくれた「うしおじさん」のチーズケーキと、売店で買ってきたコーンデニッシュ、カレーパンとコーヒー。

好中球が50ぐらいまで下がっていたので、予防的に抗生物質を飲むことに。

土曜日だがH先生が出勤だったので、5日後の妻の誕生日に外出できるかどうか相談。なんとかする方向で考えていただけるようだ。

10am、病院から出ているバスに乗って高松駅へ。妻の誕生日に行く予定のサンポート最上階レストランの下見。サンポートの1階にはタリーズも入っていて、日本のタリーズではフードメニューも提供していることを知る。妻と話のネタにしようと思ってパシャリ。

その後、バスを乗り継いで三越へ。デパ地下パン屋のジョアンで明日の朝のパンを買って帰る。この程度の移動範囲ならバスでも大丈夫そうだ。

帰路、高松駅ミスタードーナツに寄って、ポン・デ・リングとチョコ&カスタードのクロナッツを買って帰る。昔はなかったアイテムだ。

昼前、母親が大きなオムライスを持ってきてくれる。妻は1/5ほど食べた。

午後はちょっと疲れたので休憩。

3pm過ぎ、母がふたたび弁当を持ってきてくれる。

サンポート高松の最上階にある天空のダイニング、和食の「若竹」に電話して予約を入れる。

3:15pm、突然WiMaxUQコミュニケーションズから電話がかかってきて、U-Nextのお試しを案内される。毎日のようにアメリカにVPN接続してCrunchyrollを見ているが、ちょうど国内の動画ストリーミングサービスにも興味がでてきた頃だったので、申し込むことに。

攻殻機動隊ARISE」と「家政婦のミタ」を観る。

11pm就寝。

レンタカー2400円

夜中は3回ほどトイレ、大はなし。

今朝は、好中球の数字がnadir(最低値)とわかっているので、採血もなし。

二度寝したため、8am起床。

妻は好中球が下がっていて病室を出られないので、昨日ゲットした2台目のWiMaxルータとiPhoneを持って食堂のベーカリーへ行き、FaceTimeで焼きあがっているパンを中継して見せることに。しかし、食堂のあたりはWiMaxの電波が弱くてうまくいかない。そこで写真+メッセージに切り替えて、何が欲しいかを聞くことに。

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結局、米粉パン、アンパン、アップルパイ、ロイヤルミルクティーとコーヒーを買ってきたものを、半分づつ食べた。

体重は40.5kg。火曜日より1kg増えた。

昼食は松屋のビビン丼。妻は目玉焼きを一口かじっただけ。

午後は談話室で仕事。母がオーガニックスーパーの水神市場で「うしおじさん」のチーズケーキとクリームパンを買ってきてくれたが、ここの売店でも買えるよ、と伝えるとがっかり。この病院の食堂と売店はけっこう良いのだ。新しくてキレイでセンスも品揃えも良くて、パンもここで焼いてるし、ずっと病室で暮らしている自分たちにとっては、本当にこの病院で良かったと思える。

妻は昼食が食べられなかったので、売店で久保田の白くまアイスクリンを買ってくる。

その後、自分は帰宅してシャワーを浴び、弁当をもって戻ってくる。今回は父に送ってもらう。

途中、病院の近くのガソリンスタンドでレンタカー2400円という表記を見かけたので、病院に戻ってくるときに父と一緒に話をききにいってみると、もうここではやめてしまったらしいが、近くのエネオスではまだやってるらしいとの情報を入手。

そちらに行ってみると同じく日帰り2400円で、イツモレンタカーというサイトで予約すれば借りられるらしい。これなら、毎日両親がきてくれてる間にどこかへ連れて行ってもらわなくても、自分の好きな時間に車を借りて出かけることができるな、と考える。

中古車を買う、というオプションも検討中だが、駐車場のコストもあるためどちらが得かよく考えなくてはいけない。これから長くなる闘病生活に向けて、生活手段の模索は続く。

Crunchyrollで妻が見たかったというドラマ「家政婦のミタ」を視聴開始。

タンカーの進水式

夜中に数回トイレ。大のほうで、すっきりしない下痢らしい。

6am、採血。

売店のアイテムに飽きてきたので、7am過ぎに病院近くのローソンへ。ホットドッグとツナエッグサンドとバウムクーヘンを買ってきて、全て半分づつ食べた。

夜のトイレが頻繁なので、今日はマグミットを朝だけにして、昼と夜をスキップすることに。

好中球が一気に190まで下がった。

体温38.2度。

H先生の回診中、病室から見える景色で、四国ドックの新しいタンカーが進水式をしているのが見える。この病室は瀬戸内海に面した特等席だ。

オキファスト持続を1.2から1.0に減量。次第に痛みのコントロールがしやすくなってきているのが実感でき、嬉しい。

昼食は売店で高松のとんかつ専門店「ひがさ」のミックスコロッケ弁当とフロレスタのホワイトドーナッツ。妻は食欲がないので味見程度に。

昼過ぎ、母親がUQ WiMaxの2台目のモバイルルータ端末を持ってきてくれる。これでようやく二人が別々にいてもインターネットが使えるようになる。ひとつは病室に常設し、もうひとつは自分が病室外に出るときに使う。

さっそく、談話室で仕事。

夕食は母親がもってきてくれた弁当と、フリーズドライ道場六三郎の三つ葉と卵スープ。

夜中にも体温が38度を超える。

VAC療法C2D8

夜中は3-4回トイレ。いつもより少し頻度が落ちたようだ。

4amに一度、体温が38度まで上昇し、寒気で電気毛布を出してもらったが、その後は落ち着く。

朝、二度寝してしまったので目が覚めたら8am。

お腹が空いたというので、車椅子を出して下の食堂へ。卵とトーストとサラダのモーニングをほぼ一人前と小さいチョコクロワッサン、ロイヤルミルクティーを食べた。久々のきちんとした食事量で、食べる姿を見ていて嬉しさで胸がいっぱいになる。

9amにH先生から説明があり、好中球はまだ1000あり、LDHも半減して350程度、しっかり今日のオンコビン投与はやれそうとのこと。

今回はG-CSFの同日投与なし。初回時、抗がん剤とG-CSFの同日投与についてかなり食い下がったので、意識してくれているようだ。

また寒くなって電気毛布を出してもらう。

10:18amからオンコビン滴下開始。今回はよく落ちるのでほど予定通りの10分で終了。

お昼は、妻が何も食べられないということで一人で食堂へ行き、ちゃんぽんを食べてくる。

妻は、売店で買ってきた焼きプリンだけ少し食べる。

3pm過ぎに母が迎えに来てくれたので、一時帰宅。病院近くのアパート検索に没頭して、ちょっと戻りが遅くなる。

この頃には、病院のすぐ近くで一人暮らしできるアパートを検索するようになった。毎日、シャワーを浴びるためだけに片道45分かけて一時帰宅するというのは、毎日2往復している送迎の母も大変だし、時間のロスも大きい。妻の治療がうまくいって仕事にもっと時間を振り向けられるようになってくれば、近くにアパートを借りて自分のことは自分でできるようにするのが良いように思えた。

7pm、病院到着。今晩の弁当は焼きそば。

7:30pmから談話室のフォンブースでミーティング、9pmまで。

今日は旦那さんいないの?

夜中にトイレへ5回ほど行くが、大便は一度、ほんの少しだけ。スッキリしないようだ。

6amに採血。

朝食は買ってあった「うしおじさん」のミニチーズケーキと母が焼いたパンを少し食べてから、車椅子を出して食堂へ。ピロシキロイヤルミルクティーを買い、そのあと売店でバニラの焼きプリンとコーヒーを買い、5F病棟の談話室で一緒に食べる。

戻る途中、ナースステーション前に置いてある体重計に乗ってみると39.5kgで、5日前と比べて3kg以上減。

血液検査の結果、好中球はまだ1100あるため、保険診療の縛りでG-CSFが使えない。しかし、下がってきてるのは間違いないので、夕方にももう一度採血することに。

午前中、シャワールームでストレッチャーに載せられたまま洗髪。

昼食は、売店で地元のお店「マルシェ」が仕出ししている半熟たまご豚バラ丼を買ってきたが、妻はお腹が空いてないので一口しか食べられない。

午後、足湯をしてもらっている途中に母親が弁当を持ってきてくれる。

今日は左下腹部に痛みが出ているらしく、3回ほどオキファストのフラッシュ。

4pmにふたたび採血。

抗がん剤の副作用?で指にできたシミの色が濃くなってきたことを気にしている。こういう細かいことが気になる乙女心というか、そういうものが戻ってきていることが嬉しい。

5pm、採血の結果、好中球が1005。またしてもギリギリ1000を超えていたが、もうすぐ1000を切ることは明らかなので、むりやりG-CSF注射することに。

6pm、夕食は母の作ってきてくれた、きのこ味噌汁と弁当。妻は1/5ぐらい食べた。

7pmから、談話室のフォンブースで仕事。

9pmに談話室が消灯になったので、Skype会議を切り上げて戻ってくる。

そのたった2時間の不在中、寒気がしたので毛布を出してもらったりしてたらしいのだが、次々にやってくる医療スタッフに「今日は旦那さんいないの?」と毎回のように聞かれたらしい。いつも二人で一緒にいるのが当たり前という認識になってきている。そのことを伝えてくる妻も、かすかにはにかんでいて、決して悪い気はしていないのがわかる。

Crunchyrollで「暁のヨナ」最終回、アルドノア・ゼロ。「暁のヨナ」は、ようやく登場人物が揃ってこれから面白くなる!というところで終わってしまい残念だが、妻が最後まで観たというのは高評価の証だ。

10:30pm、体温を測ってみると38度。好中球減少症が起きつつある?

脳貧血

夜中に数回トイレ行ったときにはフラフラしなかったらしい。吐き気もだいぶ収まってきているようだ。

いつもの6amに採血。血圧と体温も正常値。

7amにアミティーザとラキソベロンを同時に服用。下剤の併用は構わないのか?と確認中。

朝食は食堂でチョコクロワッサンとよもぎあんパン、コーヒー。妻はチョコクロだけ全部食べた。

8:30am、O先生がきて好中球1600ぐらいで問題なしと説明。問題なし、というのは、あくまでG-CSFを打つ基準値である1000は超えている、という意味であって、健康水準という意味ではもちろんない。しかしそれでも、問題ありません、という言葉は心強く響く。

9amにH先生がきて、週末のフラフラについて聞くと、赤血球ヘモグロビンの数値はむしろ戻ってきているので、これは投薬などによる自律神経の混乱と低血圧による脳貧血だろうと。なるほど!普段寝てばかりいる平衡状態に慣れた体が急に立ち上がると、重力の関係で脳に血がいかなくなってめまいがする、と。

今日はポートの交換日なのだが、点滴の落ちが悪いので午後、外来が終わってから一度フラッシュしましょうとのこと。エンドキサンの嘔気は、急性と遅発性で2つの山をつくるシスプラチンとは異なり、3-4日続けて起きるタイプなので、そろそろ落ち着いてくる頃だろうとのこと。また、痛み止めの減量をそろそろ開始しましょうと。

H先生が去ったあと、まるで物理学の授業のように、妻にどういう理屈で脳貧血のめまいがおきるのかを実演してみせる。昔から、自分の知っていることをわかりやすく噛み砕いて教えるのは好きで、そんなふうに得意気に話す私のことを、いつも妻は嫌な顔ひとつせずじっくり聞いてくれた。

母が引っ越し荷物を押入れに入れた写真を送ってくる。

談話室で少し仕事をする。

昼食は、売店でオムライスとキャベツ&ベーコンのパスタを買ってくるが、けっきょく妻はほとんど食べられず、シャーベットが食べたいということで、ふたたび売店へ走っていき、久保田食品のゆずシャーベットを買ってくる。「アイスクリン」で有名な久保田食品、四国は高知が誇る老舗の企業だ。母の世代から食べられていた。

1pm、H先生がきてポートの流れを改善するべく、ヘパリンフラッシュ。ポートが鎖骨の上側をとおっているので角度がついているため、これが痛みや詰まりの問題になってるのかもしれないとのこと。しかし、やってみると結構ちゃんと落ちるので問題なさそう。

母が紙コップなどをもって迎えに来てくれる。

3pm、緩和ケアのN先生がきて、H先生の指示で抗がん剤後の一週間はオピオイドをいじらないで欲しいとの依頼を受け、オキファストの減量開始は水曜日からということに。

その後、H先生がきて、今後は食事をしっかりとって体重を挽回していくことを目標にしようと説明。よく抗がん剤治療中はナマモノは良くない、と言われるが、私は気にしません。お寿司が食べたければ食べてください、なんでも食べられるものを食べましょう、と言ってくれる。

4pm、母に連れられて一時帰宅。

7pm、父に連れられて病院へ戻る。

夕食は、貧血対策のためにと母が作ってくれたステーキ弁当、桃とキウイとオレンジ。

8pm、体温は37.4と少し上昇気味。おしりの褥瘡のパッチふたたび貼り替え。そろそろ治ってほしいところだ。

真夜中のインシデント

夜中は大の便意があったため1時間おきにトイレ。3am頃、ふたたび意識を失って倒れそうになる。

真夜中にインシデントが起きてバタバタするのはおちおち眠ることもできず、結構つらい。

だが、一番つらいのは妻自身なのだし、それを24時間支えると決めたのは自分なのだ。暗くて静かな消灯後の病院は、孤独感がより一層強まる。妻には、夜中にふと目が覚めても夫がすぐそばにいるという安心感を持ってもらいたい。ただそこにいる、というだけでも意味があるのだと思いたい。

毎朝決まって6amの体温と血圧チェック、それに採血。

体温37.2、血圧91/42。

血液の値もほぼ変動なし。ヘモグロビン6000台、好中球も4000近くある。まだ骨髄抑制は起きてない。

朝食は昨日パン屋で買ってきたキャラメルブリオーシュと売店の(マヨネーズ味のないタカキベーカリーの)サンドイッチ。妻もようやく少しづつ食べられるようになってきているが、食べられるものは限定されるので細かく指示をもらって買ってくる。

脱毛チェックのため後頭部を撮影。

口内炎も始まってきているが、頻繁なうがい、歯磨き、イソジン消毒で悪化の予防につとめる。抗がん剤による口腔粘膜の新陳代謝が障害されていることの両方で起きている口内炎なので、回復を待つ以外の対策がない。その間、落ちた免疫力で感染しないように、とにかく清潔を維持する。

Crunchyrollで「黒子のバスケ」をみる。自分たちの世代では誰もが知る「スラムダンク」すら見たことがないという妻だが、古い作品よりは現代的な作品のほうが面白いだろうということで何話かみてみることに。そういえば、同世代ならたいてい観ていたであろう「YAWARA!」も、妻は観たことがないということをいつも言っていた。浦沢直樹の作品では「MASTERキートン」や「MONSTER」は一緒に観たのだが、全般的に辛口の妻のメガネにもこの2作品は合格したようだった。

昼食は母が持ってきてくれた弁当としじみ汁。

夕食は父に頼んで買ってきてもらったCoCo壱番屋の野菜カレー+フライドチキン。妻は1/4ぐらい食べた。

ふたたびCrunchyrollで「暁のヨナ」。

10:30pm就寝。